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治験・SMO
2026-09-19 公開

治験施設支援機関(SMO)・治験コーディネーター業のAI活用ガイド|被験者向け説明の補助資料づくり・原資料の照合とクエリ回答の下書き・医療機関と依頼者への進捗報告を効率化【2026年版】

クリニックや病院に治験コーディネーター(CRC)を派遣し、治験の準備から被験者の対応、症例報告書の作成支援までを担う中小の治験施設支援機関(SMO)向けに、被験者向け説明の補助資料づくり、原資料の照合とクエリ回答の下書き、医療機関と依頼者への進捗報告を生成AIで効率化する方法をまとめた実務ガイドです。承認された同意説明文書は変えず、医学的な判断は治験責任医師が行い、被験者の情報は外部のAIに入れないという前提で、コーディネーターの文章仕事を軽くする方法を解説します。

結論:治験施設支援機関・治験コーディネーター業の生成AI活用は「被験者向け説明の補助資料づくり」「原資料の照合とクエリ回答の下書き」「医療機関と依頼者への進捗報告」の3つが効きどころです。朝は医療機関で被験者の来院に立ち会い、昼は診療録と症例報告書を突き合わせ、午後は依頼者のモニターからの問い合わせに答え、夜は倫理審査委員会に出す書類をそろえる——一人のコーディネーターが複数の医療機関と複数の治験を掛け持ちし、書類と連絡が日々積み上がっています。補助資料の下書き、照合の下ごしらえ、報告の文章化を生成AIが引き受ければ、被験者と向き合う時間と医師との相談に時間を戻せます。

被験者を治験に組み入れるかどうか、有害事象をどう評価するか、逸脱をどう扱うかを決めるのは治験責任医師と担当者の仕事で、そこは変わりません。それ以外の文章仕事を減らすのがこのガイドの狙いです。

AIで変わる仕事の全体像

  • 被験者対応: 承認済みの同意説明文書を補う口頭説明の台本、来院スケジュールの案内文、よくある質問への回答の整理
  • 書類・照合: 診療録と症例報告書の記載の突き合わせ、モニターからのクエリへの回答の下書き、手順書との照合チェックリスト
  • 連絡・報告: 医療機関への準備状況の報告、依頼者への組み入れ進捗の報告、日程調整のメール
  • 運営: 治験ごとの手順のまとめ、新人コーディネーターの教育資料、倫理審査委員会への提出書類の整理
  • 営業: 医療機関への支援内容の案内資料、依頼者への実績の説明文、受託の見積説明

使い方1:被験者向け説明の補助資料づくり

治験の同意説明文書は倫理審査委員会の承認を受けた文書で、コーディネーターが勝手に書き換えることはできません。一方で、医師の説明を補うときに「来院は何回で何時間かかるか」「日常生活で気をつけることは何か」「途中でやめられるか」を平易な言葉で伝える場面は多く、そこは補助資料と口頭説明の台本の出番です。承認済みの文書の内容を範囲として与え、来院の流れや連絡先といった説明の要点をAIに渡し、口頭説明の台本、来院スケジュールの案内文、よくある質問への回答の整理を下書きさせてください。文書に書かれていない効果や安全性の話をAIが付け加えていないかを必ず確かめ、補助資料として医療機関に配る前に、治験ごとの手順に沿って確認と承認を受けます。文章の指示の出し方は業務で使うプロンプトの書き方を、案内文の型は問い合わせメール対応をAIで効率化するガイドを、患者への説明の考え方は医療・介護のAI導入ガイドをご覧ください。

使い方2:原資料の照合とクエリ回答の下書き

症例報告書に入力する値は診療録や検査結果といった原資料と一致していなければならず、モニターからのクエリの多くは記載の不一致と欠落から生まれます。ここで役立つのは、被験者の情報を入れずに使える照合の仕組みです。治験実施計画書と手順書から「どの来院で何を測り、どこに記録するか」の項目一覧をAIに作らせ、来院ごとのチェックリストにしておくと、入力前に抜けを見つけられます。モニターからのクエリへの回答は、事実(何が記載されていたか)、理由(なぜそうなったか)、対応(訂正の有無と方法)の三点を担当者が箇条書きにし、AIに丁寧な回答文へ整えさせてください。被験者を特定できる情報や検査値そのものは外部のAIに渡さず、識別コードと項目名だけで扱うのが原則です。訂正の要否と逸脱の扱いは治験責任医師と担当者が決めます。チェックリストの作り方はマニュアル作成のAI活用ガイドを、書類の読み取りはAI-OCRによる書類処理の自動化ガイドを、記録の照合と整理はExcel業務をAIで効率化するガイドを参考にしてください。

使い方3:医療機関と依頼者への進捗報告

医療機関には準備の進み具合と来院の予定を、依頼者には組み入れの人数と課題を、それぞれ求められる形式で報告します。同じ事実を相手ごとに書き分ける作業は、進捗の要点(組み入れ数、脱落、次回の来院、未解決のクエリ)を箇条書きで渡せば、AIが相手に合わせた報告文に整えます。モニターの訪問日程の調整、医師の予定に合わせた来院枠の依頼、倫理審査委員会への提出書類の一覧づくりも、テンプレートを用意しておくと連絡の速さが揃います。医療機関への支援内容の案内資料や依頼者向けの実績説明は、自社の受託範囲を正確に書き、実績の数字は台帳から担当者が確かめて入れます。報告の型は日報作成のAI活用ガイドを、打ち合わせの記録は議事録作成のAI活用ガイドを、薬局側との連携の事情は調剤薬局のAI活用ガイドをご覧ください。

AIに任せる仕事と人が守る仕事の分担表

場面AIに任せてよい人が最終確認・判断する
被験者対応口頭説明の台本・来院案内文・Q&Aの整理の下書き同意説明文書との整合・組み入れの判断・説明の実施
書類・照合項目チェックリスト・クエリ回答文の整形・手順の一覧化原資料との照合の実施・訂正と逸脱の判断・有害事象の評価
連絡・報告進捗報告文・日程調整メール・提出書類一覧の下書き報告する数字の確認・医師との調整・送信
運営・営業教育資料・案内資料・実績説明文の下書き受託の可否と見積・実績の数字・契約の締結

組み入れ、有害事象の評価、逸脱の扱いは医師と資格を持つ担当者が決めることです。AIはコーディネーターの文章仕事を軽くする役に徹します。

注意点:被験者の情報は外部のAIに入れない

被験者の診療情報、検査値、服薬の内容は要配慮個人情報で、治験では特に厳格な管理が求められます。外部のAIに入力する範囲は識別コードと項目名など必要最小限にとどめ、氏名や生年月日、診療録の写しは入力せず、入力データが学習に使われない設定か契約を必ず確認してください。承認された同意説明文書や治験実施計画書をAIが要約した内容を、承認済みの文書の代わりに被験者へ渡してはいけません。GCPや関連する省令、手順書の要件は改正されるため、AIの説明を最新の制度として扱わず、依頼者と医療機関の手順に従ってください。誤情報への備えは生成AIのハルシネーション対策ガイドを、社内ルールは生成AIの社内ガイドライン策定ガイドを、情報漏洩の対策は生成AIのセキュリティ対策ガイドを、支援サービスは医療向けAIサービスの一覧からどうぞ。

よくある質問

Q. 依頼者からAIの利用を制限されることはありますか?
A. あります。治験ごとに依頼者と医療機関の手順が優先されるため、利用の範囲を事前に確認し、被験者の情報を扱わない書類仕事に限って使う運用から始めてください。

Q. 費用はどのくらい見ればよいですか?
A. コーディネーターの管理者と事務担当の有料プラン1〜3席ほどで始められます。考え方はAI導入の費用の考え方をご覧ください。

Q. 何から始めるべきですか?
A. 治験ごとの来院チェックリストを1本作ることです。被験者の情報を使わずに始められ、入力前の抜けが減り、新人の教育資料にもなります。

AITECHは、複数の医療機関と治験を少人数で支えている治験施設支援機関の相談窓口です。まずは来院チェックリストづくりからご相談ください。

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